■ 汝、君の名は...
雑記少年の頃より『薩摩隼人』という言葉が好きだった。
いわゆる倒幕時代の志士という事も含め、武勇と知略に長けた。
西郷 隆盛、大久保 利通を始めとして、人切り半次郎と呼ばれ恐れられた
桐野 利秋、明治時代の元帥、東郷 平八郎、等々。
薩摩からは数多の優秀な人材が中央にも輩出された事で、余りにも有名だ。
剣は示現流というもので、一瞬にして相手を『一刀両断』にする手合いだ。
いつの日か、そんな薩摩隼人の血を引いた人間と知り合いになり、
色んな話を聞いてみたい。
酒を酌み交わすのなら、そんな男も良いのでは、なんて思っていた。
そんな、ある日のこと。
ひょんな事がきっかけで、薩摩隼人の血を引いた男と知り会う事になった。
どことなく朴訥な感じがあったので、出身地を聞いてみたら、
父方の方は何と薩摩の血を引いていると言う。
しかも、そのご先祖様が西南戦争の終末地、城山の洞窟の中で西郷さんの
身辺近くにおいて、共に果てたというのだ。その時は、愕然とした。
そして、多少の月日が経ち、その血を引いた男が当社、平和不動産に
入社したのが2年前の晩秋の事であった。
縁は分からない。
しかしながら血脈の謎は、より一層と深まった。
そう汝、君の名は...