■ 約定と現金
雑記久しぶりの光景だった。
昨年より、ある物件のオーナーから賃借人であるテナントの
移転先を紹介してやって欲しいと依頼されていた。
テナント移転後は更地にして売却せざるを得ない意向がある、と言われた。
オーナーと賃借人との間では既に、その移転に伴う費用について
合意形成されていた。
オーナーが提示した金額について、テナント側も同意していたから
案件としては割りとズムーズに執り行なう事が出来た。
結果、当方の紹介した物件で、無事に移転先が確保出来た。
今日は、その約束を果たすべく金銭の授受が行われた。
オーナーとテナント側も久しぶりの対面のようだったが
お互い尊重し合っているようで、清々しい光景だった。
オーナーは引越し料として現金をテナントに渡す。
テナントのお気遣いで、オーナーには贈答品が渡された。
実務上、契約を締結するより、オーナー側の事情で
解約、明渡しを行う事の方が難しいと思われる。
オーナーの人生経験が豊富で人柄も良く、
テナントと良好な関係を維持していたからこそ
移転と明渡しが予定より早く実現出来たものだ。
ひとつ間違えたなら、明渡しを求める訴訟沙汰になり
紛争になる事がいかに多いか。
今回、オーナーの根回しと言うか、手際の良さに舌を巻いた。
腰が低いオーナーで、最後にお礼を言われたが、
私の方がむしろ勉強になった案件でもあった。
オーナーの車が見えなくなるまで、頭は上げられるはずもなかった。